犬のしつけやトレーニングが健康寿命を延ばせる本当の理由
はじめに
本当に悔しい気持ちでいっぱいだ。
どうぶつ病院で働いてきた中で、助けられなかった大切な命が数え切れないほどあった。
「もしこの子がトレーニングをしていたのなら、今ごろ家族と楽しい日常を過ごせていたかもしれない」
そんな思いを胸にしたことが何度もある。
この経験こそが、僕がドッグトレーナーになったきっかけだ。
そして今日、皆さんに伝えたいことは―― トレーニングは確実に健康寿命を延ばすことに繋がる ということだ。
病院の裏側で見てきた現実を少しでも共有することで、愛犬との一日一日をより豊かに過ごしていただきたい。その思いで、このブログを書いている。
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目次
1. 犬のしつけやトレーニングは健康寿命を延ばす ― 病院での経験から
結論から言うと、しつけやトレーニングは 「人と犬との信頼関係を深め、医療やケアをスムーズにする」。これが健康寿命を延ばす最大の理由だ。
病院で働く中で実感するのは、トレーニングを受けている犬の方が診察や治療を受け入れやすく、ストレスが少ないということ。
たとえば超音波検査。
お腹を見せてリラックスしていなければ、正確な画像は得られない。だが、仰向けが苦手で暴れてしまう子は、どれだけ腕が良い獣医師さんでも検査そのものができない。結果として、治療が遅れ、命を縮めてしまうケースさえある。
また、心臓病や肺炎などで入院した子にとっては「安静」が命を守る鍵だ。しかしケージに入れない、検査が苦手で暴れるとなると、治療のチャンスを逃す。
現場では、そんな悔しい場面を何度も見てきた。
だからこそ言いたい。
トレーニングは病気の重症化を防ぎ、事故を予防する。
必ず「やってよかった」と思える日が来る。
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病院の現場から見た「健康寿命を支えるトレーニング」を、病気予防編と事故予防編に分けて紹介したい。
病気予防編
- 1. 誤食防止トレーニング
誤食は命に直結する。針なら内視鏡、紐なら開腹手術――その一つ一つが動物に大きな負担をかける。だからこそ、誤食は「起きてから対応」ではなく「起きる前に防ぐ」べきだ。 - 2. ケージトレーニング
入院時や安静管理が必要なときに、ケージで落ち着けるかどうかは生死を分けるほど大きい。 - 3. 噛み癖へのトレーニング
噛む子は病院やトリミングで嫌がられ、医療行為が十分に受けられない。結果、治せる病気も治せないことがある。 - 4. 歯磨きトレーニング
歯周病は全身の病気を引き起こす。研究では、歯周病にかかると心臓病や腎臓病のリスクが6倍に跳ね上がることが示されている。
5. 病院の検査慣れトレーニング 病院で行う検査では、姿勢を横向きにさせたり、仰向けにさせたりすることが多い。その時により正確な検査をしてもらえるように、横向き・仰向けの姿勢には慣れておこう。10分~20分くらいはできるようにしておこう。
事故予防編
- お散歩トレーニング
住む環境によって重要度は変わる。
都市部では引っ張り癖や飛び出しが交通事故や咬傷事故につながる。ドッグランや犬の多いコミュニティに行くなら必須だ。
愛犬との生活スタイルに合わせて「その子に必要なトレーニング」を選んであげてほしい。
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「愛犬との生活が常に不安でいっぱいだった」
ある飼い主さんが、誤食癖のある愛犬についてそう打ち明けてくれた。
夜間救急で吐かせる処置、麻酔をかけて開腹手術…そのたびに「また次も起こるのでは」と気が休まらない。叱っても改善せず、家族全員が疲れ切っていた。
誤食防止のトレーニングを一緒に続けた結果、今では誤食ゼロ。
飼い主さんはこう話してくれた。
「本当に気持ちが楽になった。叱ることがなくなってから、〇〇ちゃんの顔も明るくなりました!」
僕も心から嬉しかった。動物病院の経験を持つトレーナーとして、命を救うお手伝いができたのだと思えたからだ。
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ここまでお話ししてきたように、トレーニングは健康寿命を延ばす。
病院での診察や検査、トリミングでのケアにストレスなく臨めることは、命を守る大切な要素だ。時には一緒に検査に同行してあげるのも選択肢の一つでもある。
人生で愛犬と過ごせる時間は一度きり。だからこそ、今できることを全力で取り組んであげてほしい。
「何から始めたらいいのかわからない」――そう思ったときは、ぜひ僕に相談してほしい。
どうぶつ病院の現場を知り、犬と人の暮らしの両方を見てきた立場だからこそ、その子に合ったトレーニングを提案できる。
みなさんと僕の力を合わせて、トレーニングで愛犬の健康寿命を延ばしていきましょう!



